MujinRobotパレタイザーの特徴を解説

今回は、物流向け「MujinRobotパレタイザー」をご紹介します。

「パレタイズ」とは?

パレタイズとは、荷物を積んでいくこと。主に倉庫内の出荷工程で行われる作業です。

<流れの一例>
①各納品先に、何をいくつ出荷するかが書かれているピッキングリストを受け取る
②出荷する製品を探しにいく
③パレットやかご車などの什器に積み付ける
④什器ごと、トラックに持って行き出荷

何からどう並べるべきなのか、これは経験によって身につくもので、未経験者がその場ですぐできるものではありません。数十キロの重い荷物を扱い過酷かつ経験がないと難しい作業なので、倉庫内でも、特に人員を確保するのが大変な工程です。

パレタイズ自動化の難しさ

高度なパレタイズ作業の自動化のニーズは高いものの、実用化レベルでの実現は、各社苦労をしていました。自動化するにあたっては、あらゆることを考慮しなければならず、技術的難易度が非常に高かったからです。

① 出荷元や出荷先にとって最適な積み付け

積み付け工程では、通常熟練した担当者が、下記のようなことを考慮しながら、最適な積み付け方を都度判断して作業をしています。

・崩れないようバランスをとる
・重いものを下に置く(他の荷物を潰してしまうのを防ぐ)
・積載効率を高める(郵送費を抑える。例えばかご車が1台→2台になると、それだけ輸送費がかさんでしまう。)
・同じカテゴリーの商品を近くにまとめて積む(出荷先で陳列する際の効率を考慮する)

② ロボットの可動域

さらに、ロボットで対応するとなると、ロボット特有の動作制限も考慮しなければなりません。ロボットが動く軌道上すべてにおいて、下記が担保されている必要があります。

・ロボット本体の、かご車などの什器への干渉回避
・ロボット本体の、段ボールなどの対象品への干渉回避
・特異点(ロボットにとって構造的に制御できず、停止してしまう姿勢)の回避

そのため、積載効率のよい積み方だけでなく、「ロボットで積むことができる積み方」を念頭に置かなければいけません。

③ 速度と品質の担保

①②を考慮しても、処理能力が低かったり、ことあるごとに止まってしまっては、現場での実用化には至りません。
速度と安定性を担保できるような積み方・運搬時のロボット軌道を実現する必要があります。

MujinRobotパレタイザーの仕組み

以前の記事でもご紹介したとおり、MujinRobotは下記の4つのコンポーネントからできています。対応する工程に合わせて、それぞれ最適なものを組み合わせます。

Mujinコントローラ = 頭脳

ロボットアーム = 身体

主要ロボットメーカー各社の
ロボットと連携

Mujin3Dビジョン = 目

Mujin独自開発

Mujinハンド = 手

Mujin独自開発

独自の「ロボット知能化技術」により、Mujinコントローラがそれぞれのコンポーネントをまとめて知能化して動かすことで、これまでできなかった複雑な積み付け工程の自動化も実現することができました。積み下ろしよりもさらに高度なことが要求される積み付け。MujinRobotでどのように実現できているかをご紹介します。

MujinRobotパレタイザー

MujinRobotパレタイザーでできること

積み付け作業を自動化するMujinRobotパレタイザーは、このような流れで機能します。

① 最適積み付けの自動計算

出荷内容に基づいて、積み荷のバランス・積み付け効率・得意先での補充効率・ロボット動作制限・ロボットの能力を最大限引き出す軌道を考慮して、最適な積み付けを自動で計算します。

② 積み付け順に基づいて、品出しを指示

自動計算によって積み付ける順番が決定した後は、その順番に基づいて品出し指示を行います。ケースシャトルシステムやAGVなどと連携をし、ロボットまで順にケースが運ばれてきます。

ケースシャトル
AGV – 株式会社Mujin
AGV
③ 什器への積み付け

ロボットのところへ順に品出しが行われるので、ロボットは運ばれてきたケースを事前計算したシミュレーションに従って、什器へ積んでいきます。

その際、実用化レベルでの運用の担保・不足の事態を避けるために、以下のような機能を備えています。

1. あらゆるワーク対応

通常の段ボールケース品だけでなく、ミシン目が大きく入っていて壊れやすい箱や、コンテナ・オリコンなども、専用のMujinハンドを使用して取り扱うことができます。

2. 3種類の什器対応

1台のロボットで、カートラック・パレット・かご車の3種類の什器への積み付けが可能となっています。

カートラック・パレット・かご車

3. 順立てなしの積み付け

②の品出し工程において、ケースシャトルやAGVなどの併用が難しく、品出し順序の調整ができない場合には、①の積み付け計算を行わず、品出しされた順番に荷崩れに配慮しながら積んでいくことも可能となっています。

4. 想定外のケース対応

積み付け自動計算を行ったにもかかわらず、その後人の手でケースを追加したり、何かしらの理由で順番どおりにケースが運ばれてこない、なんてことも実際の現場では起こり得ます。その際にエラーを出して停止する、という設定も可能ですが、順立てなしの積み付けへその場で自動で切り替え、止めることなく積み続けるという設定も選択が可能となっています。

5. 荷崩れ監視

積み付け状態を常に3Dビジョンを使って監視することで、万が一荷崩れが起こった場合には検知をし、その後の衝突を回避します。

6. 什器のゆがみ検知

什器のゆがみを認識して、ロボットの動作を補正することで、思わぬ衝突を回避します。

7. 押し込み配置動作

より安定した荷姿・高積載効率を実現するために、繊細な動作制御によりワークを横から押し込みながら配置します。

8. 出荷ラベルの外向け優先配置

後工程の検品等の作業効率を高めるために、ラベルを優先的に外向け配置する設定も可能となっています。

MujinRobotパレタイザーの実績

MujinRobotパレタイザーは、多くの現場で実際に活躍しています。

① 株式会社PALTAC様

株式会社PALTAC様のRDC埼玉倉庫では、MujinRobotパレタイザー8台が稼働しています。PALTAC様は、作業者にとって高負荷な作業を廃した「人にやさしい物流」を実現するために、かねてから先進的な取り組みをされている企業です。

今回、1台で3種の什器(パレット・かご車・カートラック)への積み付け可能なMujinRobotパレタイザーとケースシャトルを組み合わせることで、出荷エリアでのケース積み付け作業を自動化し、生産性は2倍へ向上しました。

詳しいご担当者様のインタビューはこちらをご覧ください。

② アズワン株式会社様

2020年5月に竣工したアズワン株式会社様の物流センター「SmartDC」においては、MujinRobotパレタイザーが3台が、段ボールケース・折り畳みコンテナをかご車へ積み付けしています。

今回はMujinRobotパレタイザーについてご紹介させていただきました!

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