2011年に創業し、10年目を迎えたMujin。その創業期や成長の過程秘話をMujin Storyとして数回に分けてお届けしていきます!
Episode 6「広がるソリューション領域とパートナーシップ」。 2009年の国際ロボット展で運命的な出会いを果たした創業者。Mujinを2011年に創業し、製造業向けロボットの知能化を実現し、2015年には物流倉庫での自動化にも着手し、ひとつひとつ実績を重ねていきました。前回の記事はこちら。
Mujin Story #5:世界初の完全自動倉庫の実現と複数の受賞(2017-2018)
今回は、現場への導入プロジェクトが加速していった2018年から2019年をご紹介します。
物流向けデパレタイズロボット稼働
物流向けソリューションとして、ピースピッキングの自動化を実現させた後、次に取り掛かったのがデパレタイズというダンボールの積み下ろし作業です。
物流で扱うケースは、形状が多種多様であるため、すべてを自動的に認識して正確にピッキングすることは難しいとされていました。また、重量物も扱う中で実用に耐えうるスピードを達成するのも、当時は高難易度の課題でした。しかし、Mujinの蓄積してきたロボット知能化技術により、見て、適切な軌道・スピードを自分で判断して動く、知能デパレタイズロボットをなんとか実現させました。
2018年夏、日用品・化粧品・一般用医薬品などの卸販売大手である株式会社PALTAC様の新設物流センター・RDC新潟において、出荷段階でパレットからコンベヤに積み下ろす工程において、初となるデパレタイズロボットを4台稼働させました。
このプロジェクトを初めとし、以降様々な現場でデパレタイズロボットを導入していきました。(デパレタイズロボットの詳細は、Mujinデパレタイズロボットの特徴を解説)
MBO実施 & 総額75億円の資金調達
2019年2月、Mujinは2つの大きな財務施策を実施いたしました。
1つ目は、UTEC様からのMBO実施です。産業用ロボットという重厚長大な産業におけるロボット技術革新には、長期的な視野に基づいての意思決定が不可欠です。そのため、経営陣の強固な経営基盤の確保については、長年検討が行われていました。UTEC様のご協力により、保有されている株式を創業者が取得するMBOに応じていただくこととなりました。
2つ目は、ロボット事業の急拡大に伴う、総額75億円の成長資金の調達です。様々な資金調達方法を検討した結果、Mujinは国内スタートアップでは珍しい、特殊当座借越による調達を選択しました。
この財務施策によって、1.経営陣による確固たる経営権の確保、2.潤沢な成長資金の確保、3.社員へのストックオプションの拡充を実現させました。財務施策の詳細は、創業者2名によるUTECからのMBO実施及び総額75億円の資金調達を。
アクセンチュア様と協業
2019年6月、アクセンチュア様と協業を開始しました。物流領域においてデジタル変革を推進するため、Mujinの知能ロボット自動化ソリューションとアクセンチュア様の知見やソリューションを併せてエンドユーザー様にご提供できるような体制を築きました。
4度目の本社移転で8.5倍のオフィスに
そして前回の移転から2年後、会社規模の拡大や扱うロボット数の増大によりオフィスが手狭となり、8.5倍を超えるオフィスへ本社移転を行うことになりました。場所は江東区辰巳。
ロボットが並ぶロボットイノベーションセンターや、お客様がロボットソリューションを常時ご覧いただけるデモエリア、ジムなどが併設されました。(詳細は、最先端ロボットセンター併設!イノベーションが生まれるMujinオフィスをご紹介)
物流向けパレタイズロボット稼働
デパレタイズ(積み下ろし)の次は、パレタイズ(積み付け)作業の自動化。積載効率やロボット自身の制約を考慮して、最適な積み付け方を事前計算し、それに基づいて積んでいくという複雑な工程です。初心者の方がすぐにできるものではなく、担当者の勘と経験が必要な作業のため、人手確保も難しい工程でした。
2019年11月、株式会社PALTAC様の新物流センターRDC・埼玉にて、8台のパレタイズロボットを稼働させました。
「出荷先ごとに違う什器(パレット・かご車・カートラック)へ積み付けを行う」「かご車やカートラック自体にもぶつからないように、ロボットの軌道を考慮しながらも、能力を落とさないよう素早く作業を行う」「高い積載効率を維持しつつ、出荷後に倒壊しない安定した荷姿をつくる」といったような難題もクリアし、実運用の現場でしっかり効果を発揮するパレタイズロボットを実現しました。
ファーストリテイリング様と世界中の倉庫の自動化を
2019年11月には、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリング様とサプライチェーン領域における戦略的グローバルパートナーシップ締結を発表しました。
アパレル製品のピッキングは、形状が柔らかく商品種類も豊富なことから、自動化が困難とされていましたが、Mujinロボットを世界中の倉庫に導入し、自動化を加速していくこととなりました。
7つの受賞
2018年前半に引き続き、2018年後半~2019年の1年半の間にも、幸いなことに様々な分野において合計7つの賞を受賞させていただきました。
第35回 ロジスティクス大賞 選考委員会特別賞(2018年9月)
ロジスティクス高度化への取組みと、その優れた実績を顕彰するもので、「Mujinロボットを用いたピースピッキングソリューション」が受賞いたしました。
第10回 日本ロボット学会 ロボット活用社会貢献賞(2018年10月)
ロボットを様々な形で社会に普及・浸透させ、社会の変革に大きく貢献した、あるいは貢献しうる活動や知見を顕彰するもので、「Mujinコントローラによる教示レス・ロボットシステム普及による人手不足等の社会問題解決への貢献」が評価されました。
デロイトトウシュトーマツリミテッド テクノロジー 日本Fast 50 5位/Asia Pacific Fast 500 17位(2018年10月)
テクノロジー企業成長率を発表するもので、日本およびAPACのランキングの中で、成長率が高い企業として表彰いただきました。
第61回 十大新製品賞 日本力(にっぽんぶらんど)賞
また同じく2018年、ピースピッキングロボットが、モノづくりの発展や日本の国際競争力の強化に役立つ製品を表彰する十大新製品賞を受賞しました。
2018年度 日本機械学会賞(技術)
さらに、Mujinコントローラの開発・商品化において、日本機械学会賞を受賞しました。本賞は、新技術の中で、画期的な新製品の開発、製品の品質または性能の向上あるいは生産の向上に寄与し経済および社会的貢献の大きいものに与えられるものです。
AI/SUM World 30 日経賞(最優秀企業賞)(2019年)
2019年の日本最大級のグローバルAIカンファレンスAI/SUM内で行われた、AIスタートアップ企業の事業プランピッチコンテストでは、社会へのインパクトの大きさから最優秀企業賞にあたる日経賞をいただきました。
LinkedIn調査 TOP STARTUPS 2019 5位
LinkedInのデータにより日本で最も勢いのあるスタートアップを選定するTOP STARTUPS 2019においては、Mujinは第5位に選ばれました!
こうして、2018年後半~2019年にかけて、ソリューションの幅も一気に広がり、パートナーシップも増え、受賞という対外評価も多くいただけるようになってきました。その間に社員数も50名ほどから100名へ増え、会社も大きくなっていきました。こうして「技術の会社」「イノベーションの会社」から、「技術・イノベーションを通して、現場で本当に価値を出すソリューションプロバイダー」へと進化していきました。
2018年 国際物流総合展 2018年 国際物流総合展 2019年 ロボデックス 2019年 シェフによるお菓子作りレッスン 2019年 8周年記念パーティー 国際2019年 通貨基金(IMF)の専務理事Ms. Kristalina Georgieva オフィス訪問